群馬県の公立高校入試の英語において、2025年度は平均点が前年から10点以上も跳ね上がる「軟化」となりました。その内実を紐解くと、受験生に求められるスキルの質が根本から変わりつつあることがわかります。心水塾(本部・前橋市)の教務部次長・大井泉さんに英語入試を勝ち抜くためのポイントを伺いました。
時間配分を求められる問題構成
2025年度の平均点は55.1点(前年度44.9点)。一見すると取り組みやすい内容だったように見えますが、試験の枠組み自体は非常にタフなものになっています。
「大問数は7つ、小問数は28問と、ここ数年のボリューム感は維持されています。リスニングの『1回読み』も定着しました。以前よりも増して、より実践的で、瞬発的な聴解力が必要な試験になっています」と大井先生は分析します。
構成は、前半のリスニング問題が28点、後半の筆記問題が72点。筆記は大問3の英問英答の力を求められる基礎英作文から始まり、大問6の長文総合、そして大問7の発展的英作文へと続きます。 「大問6までの筆記問題をいかにスムーズにこなし、最後の自由英作文に思考を回すための『時間の貯金』を作れるか。これが勝負の分かれ目です」(大井先生)
平均点が上がった要因としては、たとえば、下記の図の問題のように従来の英作させるスタイルから本文抜き出しに形式を緩くするなど、出題者側の配慮があったからだと考えられます。


英語を言語として運用する力が求められている
最近の入試傾向として大井先生が強調するのは、英語を「言語として使いこなす力」を重視するようになっていることです。「単に英語の表面的な意味を捉えるだけでなく、文脈を正しく理解し、要旨を正確に掴む力が求められています。それは英作文だけでなく、長文読解やリスニングでも同様です。内容を英語で言い換えたり、要約したりする能力が試される発展的な設問が増えていますね」と話す。英語で書かれた図や資料から読み取らせるような問題も増えています。

また、教科書改訂に伴う新文法事項の登場も無視できません。 「25年度はリスニングで『現在完了進行形』や『原形不定詞』が登場しました。これまでの重要項目に加え、こうした新学習事項も当たり前のように出題されるようになっています。語彙レベルも今後さらに上がっていくでしょう」と分析しています。

リスニングの最後の問題はDに当てはまる英文を受験者に書かせる問題。主語部分がThe messages from my fansと無生物で長く、helpが動詞であることを見抜かせたうえで、原形不定詞の問題であることに気づけないと解けない。模範解答は(The messages from my fans help me) do my best.
学習する上で大切にしたい3ポイント
「平均点が上がったからといって、来年さらに軟化することは考えにくい」と語る大井先生。高得点を安定させるための具体的な学習法を教えていただきました。
① リスニングは「毎日」の習慣で耳をなじませる
配点の約3割を占めるリスニング対策に近道はありません。平素から単語や文を音読し、ネイティブの発音を聴いて耳を慣らすこと。特に『1回読み』への対応には、高い集中力と実践的な演習が不可欠です。
② 文法を「使いこなす」英作文の練習
まずは中学文法の全項目を網羅すること。その上で、単文の英作文を繰り返し練習してください。大問7のような発展的英作文で問われるのは、特別な単語ではなく、教科書レベルの知識をいかに論理的に運用し、構成できるかです。

③ 速読速解力を支える「スラッシュリーディング」
「長文読解では、英文を前から順に理解する習慣をつけましょう。既習の英文を繰り返し音読したり、スラッシュで区切って前後のつながりを考えたりする地道な作業の積み重ねが、最終的には入試に通用する速読力に繋がります」
さらに、上位校を志望する生徒は、「群馬県の問題だけでなく、全国の公立高校の長文や英作文に積極的に取り組んでほしいですね」と大井先生はアドバイスする。数多くの入試問題に触れ、初見の文章を素早く要約する力を鍛えることが、合格を引き寄せる最大の手立てになりとのことです。

