- 中高生・保護者: 将来の進路や仕事の選び方に悩んでいる方へ
- 教育関係者: 子どもの適性や可能性の伸ばし方を考えたい方へ
- すべての方: 「好き」や「没頭」が未来につながる意味を知りたい方へ
ふいに訪れた再会
中学時代の同級生がふらりと会社を訪ねてきたことがありました。市内の病院で勤務医として働く彼女。
「いつか遊びに行くよ」と言っていたのは、たしか2年ほど前のこと。すっかり忘れていた頃の来訪に、思わず驚かされました。
仕事の合間だったため、ゆっくり話す時間はありませんでしたが、ひとつ印象に残る言葉を残していきました。
「“何になりたいか”じゃなくて、“社会にどう貢献できるか”で仕事を考える視点って大事だよね」
この一言が、妙に心に引っかかりました。
「なりたい」だけでは届かないもの
私たちはつい、「なりたい職業」から進路を考えがちです。しかし、“なりたい”という気持ちは、あくまで内側から湧く憧れにすぎません。もちろんそれも大切な要素ですが、それだけで職業が決まるわけではありません。むしろ、その人がこれまで歩んできた道のりの中に、適性のヒントは隠れているように思います。
好きが積み重なって力になる
社会に貢献できる仕事に就くということは、その分野で何かしらの強みを持っているということ。
ただし、その「強み」は生まれつきの才能だけで決まるものではありません。これまでの人生の中で、誰にも負けないほど没頭した経験の積み重ねによって育まれるものです。
たとえば、さかなクン。
魚への純粋な興味を突き詰めた結果、大学教員にまでなりました。最初からその職業を目指していたわけではなく、「好き」が導いた先に今の姿がある好例です。
似た話として思い出すのが、スティーブ・ジョブズのエピソードです。
彼は大学を中退後、興味を持った西洋書道の講義に没頭しました。その経験が、後にMacのフォントやデザインに大きな影響を与えたことはよく知られています。
当時の彼が将来の成功を見据えていたわけではありません。ただ、その瞬間の「面白い」に従って深く潜った。その点と点が、後から一本の線としてつながったのです。
この二つの話に共通しているのは、「将来の職業」から逆算したのではなく、「今、目の前にある没頭できるもの」に徹底的に向き合ったということです。しかも、その没入は中途半端ではありません。そうして進んでいくうちに、気づけば自分の居場所にたどり着いている。いわゆる「天職」とは、そういう形で出会うものなのかもしれません。
未来は、いまの深さで決まる
将来の夢を持つことはもちろん大切です。けれど、それ以上に大事なのは、今の自分の周りにある何かにどれだけ深く潜れるか。
どんなに小さなことでもいい。人に負けないくらい、夢中になってみる。
その先に、自分でも気づかなかった適性が、静かに輪郭を現してくるのではないでしょうか。

